ゴキブリ
 
 蚊の一生は、季節によって異なりますが、孵化から成虫になるまでの期間は10日から15日です。アカイエカは4月頃から吸血活動を初め、10月頃まで続きますがその後休眠状態に入って洞穴等で雌成虫が越冬します。同じ仲間でもチカイエカは休眠をしません。ヤブカの仲間は、樹洞や竹の切り株、落ち葉の溜った水たまり等の小水域に発生する蚊ですが、ヒトスジシマカは空き缶、古タイヤ、空き瓶、植木鉢の水受け、樹洞、墓の水受け、道路の雨水桝等の水たまりにも適応して増えています。水面近くの側壁に産卵された卵は、乾燥に耐えて長く生きています。水が来て水面下に沈むようになると孵化して幼虫になりますが、一部の卵はそのまま残っていて、子孫を絶やさないようにしています。ヒトスジシマカの場合は卵で越冬します。コガタアカイエカは、日本の水田のような大水面に発生します。雌の成虫が石垣や地中の穴等で越冬し、アカイエカより少し遅く吸血活動を始めます。水田を干す等の水の管理が行われるようになって昔に比べると大量発生は減って来ました。
 
   
 
種類 特長と生活 発生源
中型で赤褐色、腹部各節の基部に黄白色の紋がある。日本全土に分布し、屋内で最も普通に見られる。吸血活動は夜間に盛んであり、鳥類にも好んで吸血するが、牛馬はあまり刺さない。発生盛期は梅雨期から9月頃である。
チカイエカは冬の蚊ともいわれ、他の蚊と異なり冬期休眠しない。
(中水域)どぶ、汚水溜、防火用水
アカイエカよりは小型で暗褐色をし、吻の中央部と脚の関節部に白帯がある。本州、四国、九州の水田地帯にすみ盛夏に猛発生をするが発生期間は短い。 (大水域)水田、池、沼、畜鶏舎内灌流溝
大型種で翅に黒色斑点がある。日本全土に分布し、4月頃から11月頃まで発生し、農村に多く畜舎に侵入する。 (大水域)湿地、池、沼、小川、畜鶏舎内灌流溝
中型で黒っぽい体に黄白のきれいな斑点を示す。日本全国にわたって発生する。7月中旬が最盛期である。 (小水域)墓石、空缶、潮だまり
小型で黒く、中胸背板の中央に1本の白い縦線がある。関西以西に多い。 (小水域)墓石、竹の切り株、樹洞のような水たまり
 
   
 
1.日本脳炎
 日本で最初に発見されたため「日本脳炎」という名がつけられています。病原体はウィルスで、春先にコガタアカイエカにウィルスが見られ、先ず豚を吸血してウィルスを伝搬します。ウィルスは豚の体内で著しく増え、それを蚊が吸血し、その蚊によって人に感染し、一部の人が発症します。発症すると発熱、頭痛、吐き気が起こった後、意識障害、痙攣などが起こり、死亡率は30%で、回復しても脳障害が残る重篤な病気です。特に体力的に弱い老人や若年層が多く発症します。

2.マラリア
 マラリアの病原体はマラリア原虫で、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアの4種が知られています。マラリアは戦後減少していましたが、昭和47年頃から増加し、近年は横這いの状態にありましたが、平成6年には73人の患者が出ています。これは輸入症例が増加したものと見られ、少数ですが死亡例もあります。アジアからは三日熱マラリア、アフリカからは熱帯熱マラリアが多く入って来ていますが、今後ますます海外との交流が盛んになるにつれ、さらに増加することが予測されます。

3.黄熱
 まだ我国では発生を見ていませんが、世界では平成5年の患者数が 393人あり、死亡した人が 117人出ています。

4.デング熱
 デング熱の病原体はウィルスで、主な媒介蚊はネッタイシマカとヒトスジシマカです。元来は猿の病気なのですが、蚊が媒介して人から人へ爆発的に流行が起こります。感染すると、発熱、全身の倦怠感、筋肉痛が生じます。日本では第二次世界大戦中に猛威を振るい、患者数が100万人にも及んだことがあります。

5.糸状虫症
 フィラリア症と呼ばれ、糸状虫によって起こる病気で、成虫が人のリンパ組織に寄生します。バンクロフト糸状虫、マレー糸状虫がよく知られています。感染すると、発熱、乳び尿、陰嚢水腫、下肢外陰部象皮症などを起こします。過去には日本でも発生していましたが、今はありません。犬のフィラリア症は、犬にとっては重篤な疾病で、フィラリアの成虫が右心室に寄生することによって衰弱死を引き起こします。犬の感染率は50%を越えています。
 
   
 
 蚊は加害する場所と発生する場所とが異なります。また、種類によって発生する水域が異なりますから、種類をよく調べ、その蚊の生息場所を見つけて、そこを防除することが肝要です。

1.幼 虫 対 策
 広域な水面の場合、全体に薬剤を行き渡らせようとすると、大量の薬剤を必要としますから、表層に留まっているような薬剤の方が合理的です。害を与えるのは成虫ですから、成虫になるまでに殺せばいいわけで、遅効性の薬剤でも良く、成長抑制剤(IGR)等も他の生物に影響を与えることが少ないので用いられます。また、抵抗性の発達を避けるため、同じ薬剤を長く使わないで、時々薬剤の種類を変え、ローテーションすることも大事です。停滞水域では、水量当たりの薬量を考え、残効性の良い薬剤を用います。また、水受け等の小水域では水があふれ出ることがありますので、そういう場所には粒剤を用います。流水系では、流れの速さと効果の発現時間を考えて薬剤の連続投入が必要です。蚊の幼虫防除は、どうしても水系へ薬剤を処理することになりますから、他の魚類や水棲動物に対する配慮が必要となって来ます。

2.成 虫 対 策
 蚊取線香、蚊取りマット、液体蚊取りやエアゾールは、通常狭い部屋等の蚊に用いられます。ビルのチカイエカの防除には、ULV処理(高濃度少量微粒子噴霧処理)が用いられたり、地下の薄暗い壁に乳剤の残留処理をしたりします。
 
 
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